クライアントクレデンシャルは、汎用されているOAuth 2.0の認証方式として、多くの企業に利用されています。それでは、クライアントクレデンシャルという認証方式の詳細を知っているのでしょうか?本文では、クライアントクレデンシャル認証の基本を詳しく解説した上、その認証フローをも解説していこうと思います。
クライアントクレデンシャルとは
クライアントクレデンシャルとは、Oauth2.0の認証フローの1つで、機密性の高いクライアントアプリケーション(サーバーからサーバーへの通信など)が、リソースオーナーの関与なしに、リソースサーバーからアクセストークンを取得するためのメカニズムです。
クライアントクレデンシャル認証フローの大きな特徴は、ユーザーの関与や認証許可が必要でないという点になります。つまり、この認証フローでは、リソースオーナー(エンドユーザー)が関与する必要がありません。クライアントアプリケーションが事前に発行された機密情報(クライアントID/シークレット)を提示することで、アクセストークンが発行されます。
このため、クライアントクレデンシャル認証はサーバー間の機密性の高い通信に適しています。一方で、公開クライアント(ブラウザアプリ、モバイルアプリ等)ではクライアントシークレットを保護できないため、このフローは適さず、代わりに認可コードフローなどが推奨されます。
次は、クライアントクレデンシャルという認証フローをを詳しく説明していこうと思います。
クライアントクレデンシャル認証の動作原理
それでは、クライアントクレデンシャルという認証方式は、どのようなフローで行なっていますか?次は、クライアントクレデンシャル認証フローの各ロールを説明した上、これらのロールはどのような相互作用をしているかを説明していきたいと思います。
クライアントクレデンシャルフローでのロール
クライアントクレデンシャルフローには、以下の3つの主要なロールが関わります。
クライアントアプリケーション
- これは、リソースサーバー上のリソースにアクセスしようとするアプリケーションです。
- 認可サーバーに対して、クライアントIDとクライアントシークレットを提示し、アクセストークンの発行を要求します。
認可サーバー
- クライアントアプリケーションからのリクエストを検証し、アクセストークンを発行する役割を担います。
- クライアントIDとクライアントシークレットの正当性を確認した上で、アクセストークンを発行します。
リソースサーバー
- クライアントアプリケーションがアクセスしようとするリソース(API、ユーザーデータなど)を保持しています。
- クライアントアプリケーションから提示されたアクセストークンの有効性を確認し、リソースへのアクセスを許可します。
クライアントクレデンシャルフロー
上記の内容から、クライアントクレデンシャルフローでのロールをした上、これらのロールは相互作用していて、次のようなフローで、クライアントクレデンシャルという認証を行なっています。
- クライアントアプリケーションは、事前に認可サーバーから発行された「クライアントID」と「クライアントシークレット」を所持しています。
- クライアントアプリケーションは、認可サーバーにHTTPリクエストを送信し、クライアントID、クライアントシークレット、認可スコープを含むボディを送信します。
- 認可サーバーは、クライアントIDとクライアントシークレットの正当性を確認します。
- 正当である場合、認可サーバーはアクセストークンを発行し、クライアントアプリケーションに返します。
- クライアントアプリケーションは、発行されたアクセストークンを使って、リソースサーバーにリソースへのアクセスを要求します。
- リソースサーバーは、アクセストークンの有効性を確認し、有効であればリソースへのアクセスを許可します。
出典:https://learn.microsoft.com/
このフローは、リソースオーナー(エンドユーザー)が直接関与しないため、機密性の高いサーバー間通信に適しています。一方で、公開クライアント(ブラウザベースのアプリなど)では使えません。クライアントシークレットを安全に保持できないため、公開クライアントではこのフローは適さないためです。
クライアントクレデンシャルが非推奨?
多くのユーザーは、クライアントクレデンシャルという認証方式は非推奨になっているかどうかに関心がありますね。それでは、クライアントクレデンシャルが本当に非推奨な認証方式になっていますか?
結論から言えば、2024年6月5日現在、クライアントクレデンシャル認証は非推奨な認証方式ではありません。OAuth公式のドキュメントからでも、サードパーティのドキュメントからでも、クライアントクレデンシャルが非推奨な認証方式になっている結論に至りませんので、クライアントクレデンシャルという認証方式を採用したいと思っている場合、心配する必要がないのでしょう。
クライアントクレデンシャルのデメリット
ただし、強いていうなら、クライアントクレデンシャルフローは次第に非推奨となる傾向にあります。その理由は主に以下の2点です。
- クライアントシークレットの秘密性確保が困難
クライアントクレデンシャルフローでは、クライアントアプリケーションがクライアントシークレットを所持する必要があります。しかし、モバイルアプリやSPAなどの公開クライアントの場合、クライアントシークレットをアプリ内に組み込む必要があり、リバースエンジニアリングされるリスクがあります。クライアントシークレットが漏えいすると、不正アクセスが可能になってしまいます。
- 引き続きクライアントシークレットの運用が必要
クライアントクレデンシャルフローでは、クライアントシークレットのローテーション、有効期限管理などの運用が継続して必要となります。クライアントシークレットが漏えいした場合の対応も求められます。この運用コストが高くなる可能性があります。
これらの理由から、OAuth 2.0の最新ベストプラクティスではクライアントクレデンシャルフローの代わりに、認可コードフローという認証方式が推奨されています。このフローではクライアントシークレットが不要なので、より安全性が高くなるのでしょう。
ただし、既存のシステムの制約などからクライアントクレデンシャルフローを使い続ける場合もあり、その場合は適切な対策(クライアントシークレットの厳重な保護など)が必要になります。
ApidogでOAuth 2.0認証フローを簡単に実装
非常に使いやすいAPI管理ツールのApidogはOAuth 2.0という認証に完璧に対応できます。ApidogのOAuth 2.0認証機能を利用して、非常に簡単な手順で、OAuth 2.0のアクセストークンを取得し、API認証を行うことができます。
ApidogのOAuth 2.0認証機能は、Authorization Code Grant(認可コードグラント)、Authorization Code Grant(With PKCE)、Implicit Grant(暗黙的な許可)、Client Credential Grant(クライアントクレデンシャル)、Password Credential Grant(パスワードクレデンシャル)といった認可フローにも全面的にサポートしています。必要な情報を記入すれば、Apidogはアクセストークンを自動的に取得して、API利用中に自動的に追加することができるので、非常に便利です。
次の操作ガイドのように、「Auth」タブで、認証方式を選択することで、必要な情報を記入すれば、簡単にトークンを取得することができます。この後、リクエストを送信する度、これらのトークン情報がリクエストに追加されるので、非常に便利です。
ステップ⒈リクエストを送信する際、Apidogで「Auth」タブに切り替えて、認証タイプのドロップダウンリストから「Auth 2.0」を選択します。
ステップ⒉必要な情報を記入して、「トークンの取得」ボタンをクリックします。
ステップ⒊記入の情報に問題がなければ、アクセストークンが成功に取得れます。ここで、リクエストを送信する際は、アクセストークンが自動的に追加され、OAuth認証を行うことができます。
また、ここでトークンの有効期限もちゃんと表示され、必要に応じて、トークンを再度取得したり、トークンを削除したりすることもできるので、非常に便利です。
まとめ
本記事では、OAuth 2.0の認証フローの1つであるクライアントクレデンシャル認証について詳しく解説しました。クライアントクレデンシャル認証は、リソースオーナー(エンドユーザー)の関与なしに、クライアントアプリケーションがリソースサーバーからアクセストークンを取得するメカニズムです。
クライアントクレデンシャルフローは次第に非推奨となる傾向にありますが、現時点で非推奨とは言えません。クライアントシークレットの保護など適切な対策が必要です。
さらに、API管理ツールのApidogを使えば、OAuth 2.0の認証フローを非常に簡単に実装できることを解説しました。Apidogは認可コードフロー、クライアントクレデンシャルフローなどOAuth 2.0の認証フローをサポートしています。必要な情報を入力するだけで、アクセストークンを自動取得し、APIリクエストに自動で付加できます。また、アクセストークンの有効期限管理など、認証に関する機能が充実してるので、OAuth 2.0の認証を容易に実装し、安全で効率的にAPIを利用するために、ぜひApidogをご活用ください。