APIというと、最もよく見られるのはREST APIとSOAP APIになります。それでは、RESTは、SOAPとの相違点はなんですか?本文では、この2つのAPIを詳しく説明した上、RESTとSOAPの違いを詳しく皆さんに紹介していきます。
RESTとは
RESTは、Representational State Transferの略称で、Webアプリケーションの設計原則の1つです。RESTは、HTTPプロトコルを利用して、Web上のリソースを操作するための一般的なアーキテクチャスタイルを提供します。
RESTの原則には、以下のようなものがあります。
- クライアント・サーバーの分離: クライアントは、サーバーにリクエストを送信し、サーバーはそれに応答します。これにより、両者の機能を明確に区別できます。
- 無状態性: クライアントからのリクエストには、セッション状態を持たせず、必要な情報をすべて含めるようにします。これにより、サーバーはクライアントの状態を維持する必要がなくなり、スケーラビリティが向上します。
- キャッシュ可能性: サーバーからのレスポンスには、キャッシュ可能な情報が含まれるようにします。これにより、クライアントはリソースを再利用でき、ネットワークトラフィックの削減やレスポンス時間の短縮につながります。
- 統一インターフェース: サーバーには、リソースの操作に必要なメソッドやリソースの表現形式などを含めた一般的なインターフェースを提供します。
- レイヤード・システム: システムを階層化して、モジュール性や拡張性を向上させます。
- コードオンデマンド(オプション): クライアントは、必要に応じてサーバーからコードをダウンロードして実行することができます。
RESTは、Webサービスの開発において、柔軟性や拡張性を提供する一般的なアーキテクチャスタイルとして広く採用されています。
SOAPとは
SOAPは、Simple Object Access Protocolの略称で、Webサービスでのデータ交換に使用されるプロトコルです。SOAPは、XMLベースのメッセージングプロトコルであり、Webサービスの呼び出しや応答を記述するための仕様を提供します。
SOAPの主な特徴は、以下のようになります。
- XMLベース: SOAPは、XMLを使用してメッセージを記述するため、クロスプラットフォームで相互運用性が高いです。
- プロトコル中立性: SOAPは、HTTPだけでなく、SMTPやJMSなどの異なるプロトコルでも使用することができます。
- 拡張性: SOAPは、XMLスキーマやWSDL(Web Services Description Language)と組み合わせることで、メッセージフォーマットの拡張性を提供します。
- メッセージ処理の信頼性: SOAPは、メッセージの転送や処理中のエラーを検出するための信頼性の高いメカニズムを提供します。
- セキュリティ: SOAPは、SSL(Secure Sockets Layer)やデジタル署名などのセキュリティ機能を提供します。
SOAPは、Webサービスの開発において広く使用されていましたが、近年はRESTful APIが主流となり、SOAPの使用は減少しています。
RESTとSOAPとの違いを解説する
結論から言えば、RESTとSOAPは完全に違うものになり、前者はAPIのアーキテクチャスタイルで、後者はXMLベースのデータ交換プロトコルで、比較ものにもならないと思います。ただし、現在結構流行っているRESTful APIとSOAP APIの実現方法について、比較していくことができます。
RESTful:RESTful APIは、HTTPプロトコルに基づいて、データ交換のプロトコルはJSONになります。
SOAP:XMLベースのデータ交換プロトコルであり、アプリケーションにデータをHTTP上で交換させています。
SOAPは、データの構造に制限があります。SOAPの特徴は、そのデータ交換のフォーマットにあると思います。SOAPの場合、XMLフォーマットのみをサポートしているので、次の要素を含まないといけません。
- 必須のSOAPエンベロープ(envelope) - ドキュメントで使用されるメッセージと名前空間を定義するルート要素
- オプションのSOAPヘッダ(header) - セキュリティ情報やネットワークルートに関するメッセージ属性を含む
- 必須のSOAPボディ(body) - アプリケーション間で交換されるメッセージを含む
- オプションのFault要素 - このメッセージの処理中に発生したエラーに関する情報を提供します。リクエストとレスポンスの両方がSOAPの構造に従う必要があります。
その一方で、RESTはHTTPプロトコルに基づいてデータ交換を行います。HTTPが提供するリクエストメソッド、リクエストHeader、レスポンス、レスポンスHeaderなどの特性を最大限に活用しています。
RESTとSOAPの違いのまとめ
項目 | REST | SOAP |
---|---|---|
アーキテクチャスタイル | RESTful | - |
プロトコル | HTTP | HTTPやMQなどが使用可能 |
データ形式 | JSON、XML、その他 | XMLのみ |
メッセージングスタイル | 要求/応答 | リモートプロシージャコール (RPC) |
Webサービス記述言語 | OpenAPI (Swagger)、WADL | WSDL |
セキュリティ | HTTPS | WS-Security |
設計 | 軽量で柔軟 | 重量で堅牢 |
実装の容易さ | 比較的容易 | 比較的難しい |
このようにRESTはHTTPプロトコルとJSONデータ形式を活用した簡素で柔軟なアーキテクチャスタイルであるのに対し、SOAPはXMLベースのデータ交換プロトコルで、RPCスタイルのメッセージングと独自のセキュリティ機能を備えた堅牢な設計となっています。
メッセージングスタイルの違い
RESTは、主にクライアントからの要求とサーバーからの応答を扱いますが、SOAPは、リモートプロシージャコール(RPC)スタイルを使用して、複数のメッセージ交換を行います。
- SOAPは、SOAP XMLフォーマットでのみリクエストとレスポンスのデータを送受信できます。
- RESTは、特定のフォーマットを指定していません。XML、JSONやその他のフォーマットでデータを交換できます。その中でJSONが最も汎用されているフォーマットになります。
Webサービス記述言語の違い
SOAPは、WSDL(Webサービス記述言語)を使用しています。WSDLはXMLフォーマットに基づくWebサービス記述言語で、Webサービスへの記述とアクセスに使われています。その一方で、RESTには、Webサービス記述言語が特定されていません。WADLは最初に提唱された標準言語の1つになりましたが、そんなに普及されていません。より普及されていたのはOpenAPI(Swagger)です。
プロトコルの違い
SOAPはプロトコルの種類を特定していませんので、HTTP WebかMQなど、いずれかのプロトコルを使用することもできますが、RESTには、HTTPプロトコルの使用が推奨されています。
可用性の違い
RESTful Webサービスは通常、SOAPベースのWebサービスよりも実装が容易です。
- RESTは通常、解析および処理が行いやすいJSONを使用します。さらに、RESTにはWebサービスを提供するサービスの定義が必要ありません。
- SOAPはWSDLを使用してサービスを定義する必要があるだけでなく、SOAP-XMLメッセージの処理および解析にも精力を注がなければなりません。
その他の相違点
- セキュリティの違い: RESTは、HTTPSを使用することによりセキュリティを提供しますが、SOAPは、WS-Securityなどの独自のセキュリティ機能を提供します。
- 設計の違い: RESTは、軽量で柔軟なアーキテクチャスタイルであり、クライアントがリソースを直接操作することができます。一方、SOAPは、より重量で堅牢なアーキテクチャであり、様々な機能やエラー処理が含まれます。
ApidogでSOAPとRESTを扱える
非常に使いやすいAPI管理ツールのApidogは、REST APIとSOAP APIをもサポートできます。
REST APIを扱う必要がある場合、次の画像のように、直感的なUIでHTTPメソッドを選択したり、APIエンドポイントを定義したり、必要なパラメータを記入したりすると、レスポンスを簡単に取得することができます。
また、SOAP APIをテストしたりする必要がある場合、Apidogで次のような設定を行えば、SOAP APIとの通信を実現することも可能です:
- HeaderタブでContent-Typeを「text/xml; charset=uft-8」か「application/soap+xml」に設定します。
- Bodyのフォーマットを「xml」に設定した上、「送信」ボタンをクリックすると、SOAP APIから返されたxmlデータを取得できます。
まとめ
RESTとSOAPは、Webサービスを開発する際に使用される2つの異なるアプローチです。RESTはアーキテクチャスタイルであり、HTTPプロトコルを活用して軽量でスケーラブルなWebサービスを構築することを目指しています。一方、SOAPはXMLベースのプロトコルであり、堅牢でセキュアなWebサービスを提供することを目的としています。
現在ではRESTfulAPIがWebサービスの主流となっていますが、状況に応じてRESTとSOAPを使い分ける必要があります。APIの開発や管理には、Apidogのようなツールを活用すると効率的です。RESTとSOAPの両方をサポートしているため、様々なWebサービスのニーズに対応できます。